心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 背の高い執事がそう言いながらお辞儀をすると、並んでいた使用人たちが一斉に頭を下げた。
 ピシッと漂う緊張感にマリアが硬直してしまっている。

 グレイも少し圧倒されていたが、マリアを安心させるために冷静を装ったままそっと手を差し出した。
 マリアはグレイの手をぎゅっと握る。


「行くぞ……大丈夫か?」

「はい」


 5歳児くらいの身長の小さなマリアが馬車から現れると、誰も声を発していないというのにブワッと華やかな空気に一変した。

 さすがにヒソヒソと話している者はいないが、顔を見れば誰もが目を輝かせながらマリアを見つめているのがわかる。

 マリアはグレイと手をつないだ状態でトコトコと並んで歩いている。
 プラチナブロンドの髪も宝石のような瞳も、明るい日差しの中では一段と美しく見えた。
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