心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「7歳か。聖女のことはイザベラ婦人とキーズという者からある程度聞いている。ヴィリアー伯爵……君は最近まで聖女の存在を知らなかったということだが、間違いはないか?」
「はい。あの夜、王宮騎士団が来たあの日まで知りませんでした」
「そうか……」
グレイは堂々とウソをついた。
マリアの存在も、マリアが聖女であることももっと前から知っていた。
知っていて王宮に報告しなかった。
だがその事実を知っているのはマリアとガイル、レオだけである。
イザベラもキーズも、グレイがマリアに会っていたことを知らない。
この4人が黙っていればいい。
事前にマリアにも伝えてあったため、マリアも動揺することなく堂々としていた。