心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「7歳か。聖女のことはイザベラ婦人とキーズという者からある程度聞いている。ヴィリアー伯爵……君は最近まで聖女の存在を知らなかったということだが、間違いはないか?」

「はい。あの夜、王宮騎士団が来たあの日まで知りませんでした」

「そうか……」


 グレイは堂々とウソをついた。
 マリアの存在も、マリアが聖女であることももっと前から知っていた。
 知っていて王宮に報告しなかった。

 だがその事実を知っているのはマリアとガイル、レオだけである。
 イザベラもキーズも、グレイがマリアに会っていたことを知らない。

 この4人が黙っていればいい。
 事前にマリアにも伝えてあったため、マリアも動揺することなく堂々としていた。
< 285 / 765 >

この作品をシェア

pagetop