心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

49 少年少女の恋話


 兄とは結婚できないと言われてショックを受けたマリアは、その胸の痛みを抱えながらエドワード王子に再度質問をした。


「兄妹が結婚できないってことは、マリアとお兄様は結婚できないってこと?」

「そうだよ。なんだお前、本当に兄と結婚したいと思っていたのか?」

「……うん」


 王宮でエドワード王子から『結婚』について教えてもらった時、マリアの頭に浮かんだのはグレイの顔だった。
 この先ずっと誰かと一緒に暮らしていくなら、それはグレイがいい。マリアはそう思っていた。

 エドワード王子は「はぁ……」と呆れたため息をついたあと、ハッと何かに気づいたのかキラキラと顔を輝かせた。

 この機会に兄への憧れを完全に諦めさせよう! と企んでいるのがバレバレな顔である。


「お前の兄はたしか13歳なんだよな? それで伯爵家の当主なんだろ。それならもうすでに婚約者がいるんじゃないのか?」

「お兄様に婚約者……?」


 マリアの顔が青くなったのに気づいたエミリーがその背中にそっと手をかけようとした時、これまで静かに見物してるだけだったガイルが話に入ってきた。

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