心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 最近ではグレイの顔を見るとやけに緊張して変な顔になってしまう。
 それをマリアは自覚していた。

 コンコンコン

 そんなことを考えていると、突然部屋がノックされた。

 今日は朝からたくさんのレッスンが入っていたため、早めに休むようにとエミリーに言われている。
 なのでエミリーや他のメイドではないだろう。

 一体誰だろうとマリアが思った時、扉の向こうから声がした。


「マリア、俺だ。入ってもいいか?」


 グレイの声に、マリアは心臓が大きくドキッと動いたのがわかった。なぜか身体が緊張している。


「は、はい……」


 椅子から立ち上がり少し震えた声で答えると、扉がカチャ……とゆっくり開きグレイが顔を出した。
 部屋が暗いことに驚いたのか一瞬立ち止まったが、窓際に座っていたマリアに気づくと静かに近づいてくる。

 久しぶりに会うグレイに、マリアの心臓はドキドキと早鐘を打っていた。

 嬉しいのに気まずい。
 不思議な感覚がマリアの緊張をさらに強めていた。

< 377 / 765 >

この作品をシェア

pagetop