心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「はい。グレイ様にも届いております」

「やっぱり……。マリアへの手紙は開いてなかったのに、ガイルが招待状の件だと知ってるのはおかしいと思ってさ」

「本当に、お兄様にも届いてるの?」

「はい」


 グレイに届いた物にも陛下のサインが入っているのであれば、断ることはできない。
 パーティーに参加しなければいけない。
 そして、パーティーに参加するには……必ずパートナーが必要になる。



 お兄様が、誰かと一緒に……誰かをエスコートしながら、パーティーへ……?



 ズキッ
 
 マリアの胸に、針に刺されたような痛みが走った。
 以前からたまに感じる──()()()()()()()()()()()だ。
 この痛みを感じると、しばらくは胸のズキズキとした痛みに耐えなくてはいけない。



 どうしよう……胸が痛い。……あれ?



 他の女性と手を繋いでいるところを見ると胸が痛む。
 これは『嫉妬』だと、さっきレオから教わったばかりだとマリアは思い出した。



 他の女性をエスコートするところを見たくなくて胸を痛めるのも……嫉妬?



 ズキズキする胸を押さえながら、マリアは少し考え込むのだった。
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