心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
マリアが項垂れたままのエドワード王子を凝視していると、王子は生気のない声でレオに命令をした。
ギョッとしたマリアとレオは、同時に「えっ」と驚きの声を上げる。
「と、泊まるって、いきなりそんな……」
レオがやけに真っ青な顔をして慌てている。
なぜそんなに焦っているのかマリアにはわからなかったが、マリア自身もわざわざ泊まるほどではないと思っているので、レオの意見に賛同した。
「私は大丈夫です。家に帰れます」
「ダメだ。もし何かあったらどうするんだ。……レオは早く伝えに行け。他のメイド達も、一度部屋を出ていってくれ」
「……はい」
レオはまだ何か言いたそうだったが、王子のどこか切羽詰まった表情を見て仕方なさそうに頷いた。
不安そうな顔をしたレオに続き、メイド達も部屋から出ていく。
残されたマリアは、もう一度抗議しようと王子に向き直った。
「あの、エドワード様。私は本当に……」
そこまで言いかけた時、突然王子に抱きしめられた。
椅子に座っていたはずの王子は、いつの間にかベッドに移動していたらしい。
マリアのすぐ隣に座り、その身体をグイッと少し強引に引き寄せた王子は、そのままマリアの肩に顔を埋めた。
「エドワード様?」
小さい頃から知っているが、今まで王子に抱きしめられたことなんてなかった。
それに、抱きしめられている……というより、まるで縋られているような感覚がして、マリアは戸惑った。
エドワード様、どうしたんだろう?