造船王はその愛を諦めきれない~その人は好きになってはいけない相手でした~

エピローグ


それから一週間後、互いの両親への挨拶は、無事に終えることができた。

いろんな思いがあるはずなのに、家族みんなが祝福してくれてありがたかった。
怜士さんのお母さんは優しい方で、孫を楽しみにしていると言ってくれた。

カズ君に至っては、『泣かせたらゆるさないからな!』と怜士さんにあたりが強かったが、それでもわたしに幸せになれよと激励を送ってくれた。

怜士さんはツインタワーの展望レストランで、改めてプロポーズをしてくれ、大きなダイヤの指輪を贈ってくれた。
いつの間に指のサイズを測り、いつの間に準備をしていたのだろう。
クルーズ旅行の時から、指輪を贈りたいと画作してくれていたらしく、妊娠が発覚したときに急遽つくってもらったとの事だった。

そして、無事に書類を提出し入籍を終え、わたしは晴れて藤堂凛になった。

お父さんと中森のおじさんは、ウィステリアマリングループで働くこととなった。

新しく会社を立ち上げることはできないが、ブランクはあるものの技術開発部門で採用してもらえ、少しづつ調子を取り戻している。

ふたりはわたしが怜士さんから説明を聞いたあの日に、提案を受けたことを飲みながら話し合ったらしい。
始めは複雑な気持ちもあったようだが、ふたりとも、やっぱり海と船が好きなのだ。

中森のおじさんに至っては、わたしの知らない事件があったらしく、ウィステリアマリンに強く出られない事情もあるとかなんとか。

怜士さんとお父さんは、船の話で気が合うらしく、いつのまに仲良くなっていた。
お父さんは意外と話が合うかもな、などと零していて、日を重ねるごとに、以前のようにどんどん明るくなった。


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