君の好きな人になりたかっただけ
敵わない相手
幼なじみだという二人は、俺にとって太陽のような存在だった。



「おい、(そう)!何ぼけっとしてんだよ!」



木陰でじっと体育座りをしながらサッカーをしている男子達を眺めていると、後ろから力強く頭を叩かれた。


振り向かなくてもわかる。こんな馬鹿力は俺が知る限りたった一人しかいない。



「…なんだよ」


「なんだよ、じゃねぇーよ!気づいたらいなくなってんだもん。びっくりしたよ」



荒巻陽太(あらまきようた)がにっと眩しく笑いながら、ワックスでセットしている髪の毛を掻き上げた。


その拍子に、耳元で揺れるリングのピアスがきらりと光った。


陽太の幼なじみが誕プレにあげたやつだ。



「あー!二人してサボってる!先生にチクってやろっと」
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