狂愛〜虎を照らす月〜
「あれ?朔さんは?」

深月が朔がいない事に気づいた。


「朔は、車置きに行ったらくるよ」
陸が答える。


朔は、車を停めにも行くが、その前に護衛から報告を受けてるはずだ。


「そっか!お腹ペコペコー」

すっかり深月は、リラックスした様子を見せる。

呑気なやつだ。
それでいい。


俺と陸は顔を合わせて、クスッと笑った。


「大将!よろしく」

陸が話しかける。

「いらっしゃい!はいよー!
おいおい。とんでもねぇ別嬪さん連れてきたな?どっちの連れだ?」

大将が驚いている。



「ははは!兄貴だよ」


「ああ!こりゃ珍しい事もあんだな!
初めてだな!岳!
特別美味いの出してやっからな!待ってろ」


「ああ。頼む」
俺も、続いた。


ここの大将はもともと、うちの専属の板前だった。
だから、俺たちのことはガキの頃から知っていて、しょっちゅう勝手に厨房の冷蔵庫をあさっては、こっ酷く怒られた。
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