君に、振り向いてほしいから
『あ、生徒会長と副会長も来てくれたみたいですね。水潮くん、挨拶してくれ!』

波はため息をつくと、面倒くさそうに歩き出した。

波は校長からマイクを受け取り、マイクを持って話し出した。

『新入生のみなさん、生徒会長の水潮波です。この度は、我が校を選んでくださり、ありがとうございます。
文化祭や部活動にも力を入れておりますので、楽しみにしていてください』

波はお辞儀をしてマイクを校長に渡し、僕のところに戻ってきた。

しばらくしているうちに、入学式は終わった。

「帰るぞ、凪」

僕の前を歩きながらも、波の目は誰かをさがしている。

瑠花ちゃんかな?見つけても瑠花ちゃんのところには行けないのに。

そんなことを考えながら歩いていると、波が突然立ち止まった。

波の背中に顔をぶつけると同時に、僕の背中にも何かがぶつかった。

「いった、どうして急に止まったの、凪!」

「海?どうしてここに?」

後ろには、痛そうに頭を下げる押さえている男子の姿が目に入った。

彼……音島海(おとじま かい)は、僕を軽く睨んで波の視線の先をみた。

つられるように僕も視線の先を見ると、そこには不安そうな表情をした瑠花ちゃんが。

「瑠花?どうしたんだ?教室に行かなくていいのか?」

「はい。……あ、はいじゃないですけど、私、ぶつかった人が生徒会長さんだって知らなくって」

「どうしてここに?」

「えっと、お願いがあって……」

瑠花ちゃんは言いにくそうに下を向いた。
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