ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
一人ぼっちのシュークリーム

1.だから僕は、まいさんが好きなんだ

短いようで長かった一週間が、過ぎようとしていた。明晩、『罪深い姉弟の行い』を招いた元凶の主が、帰ってくる。

「二人だけの生活も、今日までだね。なんか、つまらないなー」

私にとっては『タブーな一夜』であったけれど、大地にとっては、そうではなかったらしい。
一緒にいる時間を少しでも減らそうとする私に反して、あきれるほど大地は、私とコミュニケーションをとりたがった。

現に今も、
「夕食の準備は手伝わなくていいから」
と、リビングに追いやったはずが、気づくとキッチンに入って来て、さりげなく私を手伝っていたりした。

揚がったばかりのトリの唐揚げに、大地が横から手を伸ばしてきた。
あつっ、と、つぶやきながら口に入れると、指先をぺろりと()めた。
そのしぐさが妙に艶めかしく……あの夜の大地とのモロモロを思いださずには、いられなかった。

「……うん、いい味。まいさん下味つけるの上手だね」

誉めても何も出ないってのは、解ってるだろうに、大地は微笑んで私を見つめる。

つまみ食いするな!
と、しかる言葉をのみこんで、フライ用の鍋の火を止める。

胸騒ぎにも似た落ち着かない気分が、指の先々にまで伝わっているようで、大地に気づかれないように、こっそり息をついた。

「お父さん、また出張とか言わないかな?」

ポツリと漏らされた一言に、思わず大地を振り返る。頬が引きつった。

「あんた、何言ってんの? 養ってもらってる身分で」
< 26 / 115 >

この作品をシェア

pagetop