かりそめの愛に、永遠の契りを。
初夏の晴れた日曜の昼下がり…
ベビーカーを押しながらこの後会う約束をしている男性に指定された待ち合わせ場所まで、少し急ぎ足で向かう。
駅前にある外資系ホテルの5階。そこに入っているカフェの前で13時に…という約束だったが、出かける直前に息子の吏玖(りく)がミルクを派手に零してしまい、その処理をするのに手間取ってしまった。
バタバタと少し小走りでベビーカーを押しながらホテルへと入っていく私は…完全に場違いだろうと自分でも思う。出産後、こんなオフィス街のど真ん中にあるホテルに足を運んだのは初めてだ。
一応身なりにも気を配りながら、自分の持っている私物の中で最も値の張るワンピースを選んだものの…外の炎天下の中を急ぎ足で歩いたせいで、既に全身汗だく状態だった。
(別に、ただの好奇心で来てみただけだし…)
っと、自分に言い聞かせながら…約束のカフェに到着した矢先。今の今まで大人しくしていた吏玖が、怪獣の如く叫ぶような大声で泣き出してしまった。
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