一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。


噂ではよく聞くし、明らかに先輩を見つめる瞳が優しいもん。


初めてふたりのやり取りを見た瞬間、分かっちゃったから。


べつに、ふたりがカップルになったのは全然嫌じゃない。


恋奈先輩の恋が叶ってくれてうれしい。それは私にとってもすごく喜ばしいこと。



……だけど、だけど。




「……柳瀬」


「……なに…?」


「心配しなくても、恋奈先輩はお前から離れたりしないよ」


「……っ…」



顔に出てたのかな。よく言われるもん、恋奈先輩にも、他のみんなにも。


恋奈先輩はそんな私をすごい可愛がってくれて、優しくて、とにかく憧れて。



……そんな先輩が、離れて行ってしまうのが怖かった。



言い当てられると、それはもっと確信に変わって、もやもやと不安が溢れだす。



「恋奈先輩は、彼氏が出来たからって周りに冷たくなるような人じゃないでしょ」


それはいちばん、お前が分かってんじゃないの?



そう言われて、はっとする。



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