一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。
……私、ひとりで全部やろうって考えてた。
ちゃんとしなきゃ、完璧でいなきゃって。
でもそんなの、家に囚われる私と同じだ。
あんなに「変わらなきゃ」なんて思ってたのに、いちばん変わっていないのは私だったのかもしれない。
それに、信頼して、信頼される関係の方がかっこいいじゃん。
「ーー…悧來」
「何ですか?」
「体育館の椅子の片付け、中庭までのアーチの修理、三年生の教室のワックスがけに忘れ物チェック」
さっきまでの重たい足が、今なら飛べるように軽い。
「みんなで手分けしてして、やろう!」
「……はい」
ふ、と優しい微笑みが、安心したような声と共に落とされる。
隣で歩く悧來は、とても頼もしく感じた。