一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。


ぐるりと辺りを見回しても、探している彼の姿が見つからない。



帰った……?いやでも、悧來は途中で仕事を投げ出す人じゃない。








「ーーあ、いた」



「……センパイ?」




探してみたら、屋上の扉を開けた瞬間、柵に腕をかけて空を見上げている悧來の姿があった。



「どうしたの?」


「んー……なんか、恋奈センパイも来年には卒業しちゃうんだなあ……って思ってました」


「なにそれ、」



冗談かと思ったけど、寂しそうに空を見つめる顔は本気みたい。


どう反応していいか、分からなくなった。



「……あ、そうだ悧來、これあげる」


「え、なんですか……って、クッキー?」


「そう。ハッピーホワイトデー?」


「ふ、なんですかそれ」


「これ食べて元気だして?」


「……はい」



そう言うと、もうラッピングのリボンをほどいているからびっくり。


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