想箱

重たい雲が空を覆うと 憂鬱な気持ちになる

雲ひとつないと 吸い込まれそうになる

満天の星につつまれると 誰かに会いたくなる

夕焼けに染まると このままじゃいけない気がして

夕陽の沈む海に大声で「ばかやろう」と

悪ふざけのふりをしてつい叫んでみたくなる

なぜだかそう思えてくる

この空の下でつながっている

みんなはどうなんだろう

そんなことも

つい思えてくる



僕にとって

太陽の輝きは ときには眩しすぎて

月の光は 優しくも冷たく そして妖しくて

星の瞬きは 悲しい神話が浮かんできて

こんもりとした入道雲は なんだかユーモラスで

でも これが終わればもう秋がくるのだと

この夏はもう二度と戻らないのかと

何事もない一日が物足りなくもあって

風の香りですら愛おしくなるような

そんな気持ちにもなるけど

空っぽの空は

雲もなく 月もなく 星もなくて

青く ただ青く 透き通るほど青く 吸い込まれそうなほどに

ただ青くて

空っぽの心も

夢も 希望も 人に言うほどの志も 生きている意味でさえも

一人では見つけられないけど

太陽だけは輝いていて

そして青く ただ青く 透き通るほど青く 吸い込まれそうなほどに

それは青くて

でも そんな言葉にできないブルーは

足音がして 弾む息が聞こえて 腕に重たさを感じて

君の香りがその後に遅れてやってきたら

もう すっかり上の空になって

眠れない夜のあとでは

ちょっと目がくらみそうなくらい眩しいけれど

これから夕焼けの綺麗な海まで二人で歩いて

やがて 夕陽が沈みだすそのころになったら

君のことが「だいすきだ」って 

悪ふざけのふりをして 叫んでみようかなんて

つい思えてきたりして

だいじょぶ

もし君と僕の顔が紅くなってたとしても

あかね色に染まった空がきっと隠してくれるから

紅く染まった柔らかな夕陽を

いつまでも眺めていたいんだ

水平線にくちづけをして

夕陽が空から見えなくなるまで


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