【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。
3.蜜月



 婚姻届にサインと印鑑を押した後――私は、ホテルの部屋で彼と向かい合っていた。


「ねぇ、麗ちゃん。もう俺たちは夫婦になるよね」

「……はい、そうですね」


 まだ提出してないけど、出したらすぐ夫婦になる。
 これは、政略結婚なのか。
 お見合い結婚なのか……それとも恋愛結婚なのか。


「碧さん。私、今更ですけど当時の火傷の痕が消えていません」

「知ってるよ」

「幻滅しませんか……私の身体を見て」


 当時はまだ碧さんも、幼くて覚えてはないはず。

 ただ、“一生消えない傷が残る”とだけは聞いたと思う。だって、私の両親は碧さんと碧さんの両親を罵倒していたのを見ていたし両親が医師にどうか治すことは出来ないかと掛け合っていた声は今も耳に残っているのだから。



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