【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。
2.トントン拍子



「本当に久しぶりだね、立派になって……」

「いえ、本当にご無沙汰しております」


 両親は彼と楽しそうに話をしている。

 どうしてだろう。彼が私の縁談相手?彼なら私のことを一番知っているはずなのになんで……


「麗ちゃんも久しぶりだね。あの頃も可愛らしかったけど、今は綺麗になった」

「……ありがとうございます、あ……富萊様」


 いけない、普通に碧くんって言いそうになっちゃった。あの頃とは違うのだから馴れ馴れしくはダメだ。


「前みたいに碧でいいよ。麗ちゃんに富萊様なんて呼ばれるのは他人行儀みたいで嫌だなぁ」

「す、すみません。じゃあ、……碧さんと呼びます」

「ありがとう」


 そんな会話をして食事が終われば、両親は「私たちはそろそろお暇するわね」と言いながら退室してしまった。

 だから私たちは二人きり。碧さんだからって、男性とこんなに同じ空間にいたことないからかとても緊張してしまう。

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