4月1日、24時。
「俺たち、同じ病院で生まれたって知ってる?」

「知ってる」

ほとんど同じ日に、同じ病院で生まれたの。

新生児室のとなり同士のベッドで寝てたって。

だからよけいに、生まれるのがあと何時間か遅かったらなって、いつも思ってた。

「それってさ、俺が生まれた瞬間から、俺の世界には侑莉がいたってことだよね」
「え?」

「侑莉は、俺より早く生まれて嫌だって思ってるかもしれないけど」

また、おでこを「コツンッ」ってする。

「侑莉が先に生まれてくれたから、俺は」

瞳を、じっととらえられる。

「生まれた日から、侑莉しか見てない」

「……」

臣があまりにも真剣に言うから、うまく言葉が出てこない。

「お願いだから、俺の一番好きな人の誕生日、笑顔でお祝いさせてよ」

「……むりだよ」

だってこんなの……。

「こんなの、うれしくって、泣いちゃうもん」

臣がまた、ギュッて抱きしめてくれる。

わたしもギュッて抱きしめかえす。

「わたし、さっき、ひどいこと言っちゃった」

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