「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
最初から逃げられなかった

 生きる世界の違いを実感し、叶わぬ想いに気づいたエレオノールは、ジークハルトのもとを去ると決めた。

 その日までなるべく距離を取って過ごさなければ絆されてしまうと心配していたのだが、幸か不幸か、そんな時間はやってこなかった。

 リヨン王国とは正反対に位置する小国との国境付近が騒がしいと報告があったらしく、ジークハルトは竜騎士団を率いて状況を確認しなければならなくなったのだ。

「エル」

 まともに話す時間も取れないまま迎えた出発日、ジークハルトは慌ただしくエレオノールのもとを訪れた。

 既に装備を整えたジークハルトは、軽鎧に長槍、そして腰に佩いた剣と物々しい姿をしている。

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