日常を返せ!

接触

 ここ最近嫌なことばかりだったので、甘い物を食べてリフレッシュしたい。

 そんな事を考えていたわたしは、自分に近付いてくる人物に気が付かなかった。

「あの、新田明良さんですよね」

「はい?」

 名前を呼ばれたので、そちらに顔を向けると一人の男性が立っていた。

 男性の首には一眼レフカメラがぶら下がり、手にはボイスレコーダーを持っている。

 マスコミか週刊記者だろうと判断したわたしは、何もなかったことにして、あかねたちを連れて立ち去ることにする。

「待ってくださいよ!」

 男はすぐにわたしの腕を掴んで引き止める。

 男の強引さに心の中で舌打ちをして、その手を振り払う。

「何するんですか、やめてください!」

「無視しないでも良いじゃないですか。わたしは少し話を聞きたいだけですよ」

「話すことは何もないので、お引き取りください」

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