日常を返せ!

検証

 駅前に到着すると、すでに到着していた間がわたしに気づいて手を振る。

 羽間は髪を隠すように帽子を深く被っている。

「そんなに深く被らなくても大丈夫だよ?」

「そ、そうですか?」

「あとでエクステを買いに行くけど、一緒に行く?」

「は、はい。お願いします。……体調が良ければですけれど」

「今日ダメだったら明日買いに行こう」

 そう言ってわたしたちは、市外手前の駅の切符を購入して電車に乗る。

 ゆっくりと目的地へ進んで行くが、それと同時にあの頭痛と吐き気が襲ってきた。

 口元を押さえて込み上がる吐き気に耐える。

 隣にいる羽間を見ると、両手で頭を抱えてグッと目を閉じて痛みに耐えている。

 市外手前の駅に辿り着くと、ふらつく体で電車から下車する。

 近くのベンチに体を預けて二人して痛みに耐える。

 それから少し経つと急に痛みが消えた。

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