日常を返せ!

戻った?

 パンッという発砲音に、わたしは勢いよく飛び起きた。

 そして自分が例の廃墟の玄関ホールにいることに愕然とした。

「羽間?」

 わたしは辺りを見回して羽間を探すが、誰もいない。

 どうして自分がここにいるのか分からないが、さっきの発砲音で銃を所持している者が近くにいるはずだ。

 ここから出ることを優先しようと、玄関扉に手を掛けた。

「グッ、うぇ……」

 扉に触れた途端、例の不調に襲われ、えづきながら扉から離れる。

 ここから出られないと悟ったわたしは、どうするべきか考える。

 そんなわたしの耳に、離れた所から一人の足音が響いてきた。

 考えている時間はない。

 どこかに隠れてやり過ごさないと。

 わたしはとりあえずカウンターの裏に身を隠して息をひそめた。

 扉の開く音が聞こえ、先程の足音がホールをうろうろと歩き回る。

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