日常を返せ!
「大丈夫、下には来てないよ」

「こっちも上がって来てないから、このまま降りよう」

 桃香がわたしの背を軽く押してあかねの方に行くように促す。

 あかねと同じように身を屈めながら降りて行き、あかねの隣まで行くとソッと下に顔を覗かせた。

 見える範囲では特に何もないけど、遠くから幾つもの悲鳴が聞こえる。

 まさか、学校の生徒を襲っているの?

 デスゲームとは全く関係ないのに?

 中川が無差別に人を襲っている。

 この状況だとわたしだけじゃなくて、あかねや桃香も危ない。

 あかねは全員が踊り場まで来たことを確認すると、再び一人で降りようとしたので、わたしはあかねの腕を掴んで阻止した。

「なにするのよ、明良」

「……わたしも一緒に行く。一人で様子見は危ない」

「そうだね。三人でいたら同時に抵抗すればいいし」

 桃香もわたしの意見に賛同してくれて、わたしたちの言葉にあかねがため息をついた。

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