日常を返せ!

次の標的

 植本はもがき苦しむ中川を足で踏みつけながら、わたしたちに笑顔を向ける。

「植本、あんたが『殺人者』なの?」

「それは連続事件のことですか?」

「そう。あんたが『殺人者』だから、皆を殺したんでしょう?」

 そう聞くと植本は愉快そうに笑い出した。

「何がおかしいのよ!」

「ああ、すみません。僕が手を掛けたのは彼と石井さんだけですよ。あとは他の方がやったんです」

「じゃあ、なんで中川を殺したんだよ。あいつが『殺人者』だと思ったから殺したの?」

 わたしの言葉に植本がしばらく黙っていたが、何か分かったのか「そういうことか」とボソリと呟く。

「いいえ、『殺人者』は別にいると考えています。中川さんを殺したのは、デスゲームのルールに則っただけです」

「は? どういうこと?」

「『一般人』が『殺人者』を殺した場合、賞金の一億円を生存者の人数で山分けになります」

「確かにそうね」

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