日常を返せ!
 拍手をして喜ぶ主催者にあかねは机を叩いて怒りを露わにする。

 そんな彼女を宥めるように主催者は明るく答える。

「安心してください。これだとゲームバランスが崩れてしまいます。ここからはこのクラスの皆さんしか知らない特別ルールです」

「特別ルール?」

「はい。こちらのデスゲームの会場は、この市内となっております。新田様たちが建物から脱出してからがゲームスタートの合図となります。皆さんには他の参加者たちから新田様を守る『保護者』になってほしいのです」

「新田を守るって、相手は殺しにかかっているんだろ? 危ないし、俺たちにメリットはないよな」

「もちろんタダで、とは言いません。今回のデスゲームは至る所に撮影カメラを回しております。ある時は防犯カメラだったり、通行人のスマホだったり。そこに新田様を気遣い守る方が映り放送されれば、その方に映った回数×十万円を贈呈します」

 主催者の言葉に再びクラスメイトがどよめく。

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