日常を返せ!

怪しいスマホ

「ねぇ、誰かスマホを二台持ちしてる?」

「俺はこれだけだぜ」

「わ、わたしも……」

 誰も自分の物だと言わないので、一番近くにいたわたしがそのスマホを拾い上げて、画面をタップする。

 そこにはパスワードも待ち受け画面でもなく、黒い画面に赤い文字で『解錠しますか?』と表示されていた。

 その文字の下には『はい』『いいえ』とタップできるようになっている。

「どうした?」

「何か変な画面が出たんだけど……」

 声を掛けてきた玉木に私はスマホの画面を見せた。

「えーと、『解錠しますか?』だって? これ、あの仮面の男のシステム用スマホじゃないのか?」

「解錠ってどういう意味でしょうか?」

「もしかして扉に鍵が掛かっているとか?」

 石井がまだ触っていない玄関を指差す。

 玄関ホールと同じく豪華な木製の扉があり、そこから外の様子は分からない。

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