日常を返せ!
「植本の言う通りね。あっちは武器を持っているし、追手が来たら太刀打ちできないわ」

「それなら、俺を茂みに隠してお前らは逃げればいい。その間に助けを呼べればいいだろう」

 植本と田山の言葉に玉木は先程通った茂みを指差した。

「そんな、玉木さんを放っておけませんよ!」

「全員捕まるよりはマシだろう? 今話している間でも車が一台も通ってないんだ。……俺の言うことが聞けないのか?」

 羽間が玉木を心配するが、そんな羽間に有無を言わせない低い声で睨みつける。

 その態度に委縮したのか、羽間は目を伏せてそれ以上何も言わなかった。

「確かにこのまま待っていても危ないよね。早く助かりたいし、わたしと星矢でこっちから車が来ないか探してみるね」

「そうだな。ここで突っ立っていても時間の無駄だしな。ちょっくら行ってくるわ」

 中川がそう言うと、腕に絡みついている石井を連れて国道を歩き始めた。

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