私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】

「この薬を作るために必要な小鍋は、昨日アーサー殿下が壊されました。修復不可能なほどに粉々になってしまったので、もう作ることはできません」

「なんですって!? なんでそんな大事なことを言わないのよ!?」

「もちろんお伝えしましたが、信じていただけませんでした」

「そ……んな……」


 それ以上何も言えず、エイリーンはその場にペタリと座り込んだ。
 先ほどまでの迫力がなくなったアーサー王子は、か細い声でソフィアに問いかけてくる。


「ということは、もしかして俺は……一生この姿のままなのか?」

「……申し訳ございませんが、そうなってしまいます」

「新しく薬は作れないのか? ここまで強力じゃなくても、少しでも抑えられる薬を」

「申し訳ございませんが、この3年間ずっと作り続けておりますが成功例はございません。あの小鍋に残った先生の魔力が必要なのかもしれません」

「その先生というのは……」

「もう亡くなっております」


 最後の希望もなくなった王子は、ソフィアの答えを聞くなり白目を剥いて倒れた。
 とても今の状況を受け入れられなかったのだろう。
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