あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される

序章

彩雲の上に建つあやかしの国。

 淡い虹色で彩られたその国は、まるで陽炎(かげろう)のように揺らめいて見え、幽玄なる雰囲気に包まれている。

 贅を極めた絢爛豪華な宮殿には、魑魅魍魎(ちみもうりょう)のおぞましい姿をしたあやかしが跋扈(ばっこ)しているという。

 そんな彼らの頂点に立つのはあやかしの王。

 人間界に厄災を落とす諸悪の根源である。

 その姿は、巨大な肢体に、獰猛な顔つきで、まるで霊獣のように気味の悪い姿をしているという。

 遥かな昔から代々続く祓魔(ふつま)一族は、人間界で唯一あやかしの魔力に対抗する術を持った財閥だった。

 祓魔一族の積年の念願は、あやかし王を討ち取ること。

それが、祓魔一族に生まれた者の宿命である――
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