あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
 琴禰は手の平を見つめる。

ずっと欲しかった祓魔の力。体の奥の方が熱く、漲る精気が炎のように揺らめいている。

手に力を込めると何かが溢れるような不思議な感覚がした。

 嬉しいけれど怖い。この力は誰にも祝福されていないのだ。

 なにやら外が騒がしかった。屋敷の外には多くの村民が集まり、力の強い祓魔師が屋敷に入ってくるのが感じられた。

 目を閉じて集中させると、外の様子や屋敷の中で会議が行われている様子もはっきりと見ることができる。

さらに、会話まで聞こえてしまうのだから開花した自分の力が怖ろしい。

こんなことが祓魔の力でできるなんて聞いたことがない。

 大巫女様が怖れるのも無理はないと思ってしまうほど、琴禰の力は際立って異様だった。

『あの者を野放しにしておくのは危険じゃ。力が強すぎる。完全に力が開花する前に抹殺すべきじゃ』

 客間に集った祓魔師一同を前に、大巫女様が命を下した。
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