前世へのレジスタンス
5
高校生活最後の夏休みが始まった。

私は生活費の稼ぎ時だと、バイトを沢山入れた。
ほぼ毎日バイト漬けだ。

セイとエリナちゃんは大学受験の為に塾に通っていた。
あちらは逆に勉強漬けの日々だ。
2人は同じ塾に通っているらしい。
毎日会えて嬉しい!とエリナちゃんがたまに電話で惚気話をしてくる。

金井くんは忙しい中でも1日1回、私に必ず電話をかけてくる。
私よりも疲れているはずなのに、毎日気にかけてくれる人がいるということが今までの生活と違っていて、心が暖かくなる。


「1日だけオフができたから、予定空いてたら少し合わない?」
「え、ほんと?」
「うん。カナは行きたいところ、ある?」


つかの間の休日。
夏休みが始まって半分がたった頃だった。

バイト代、先月も頑張ったから、結構ある…


「…そっちに行きたい」
「え?」



私も金井くんの見てる世界を見てみたい。
隣で見たいんだ。


「電話越しから聞こえる、環境音とか、想像でしか分からないずっと明るいところとか、とにかく私も世界を知りたいの…」
「…分かった。乗換の場所後で送るから。」
「ありがとう…」


早く会いたい…



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