もう一度言わせてあのね。
演劇部

「おはよう那海。」


明るい声と笑顔で話しかけてくれたのはママ。


「おはよう。」


トントントンっとリズムのいい音がなる。


那海のお弁当を作ってくれている。


高校生にもなってまでママにお弁当を作ってもらうのはおかしいかもしれないけど。


那海は如何せん料理が苦手なので、ママが作ってくれたご飯の方が美味しい。


眠たい目を擦り、洗面所へ向かって真っ先にヘアアイロンの電源を付けた。


「あぁ、だる。」


思わず声が出る。寝癖とくせっ毛のせいで朝起きたら髪の毛はいつもくるっくる。


小さい時はロングにしてたしくるくるの髪の毛がお姫様みたいで気に入ってた。


でも今となってはコンプレックスでしかない。


だから毎朝しっかりめにヘアアイロンをする。


支度を済ませたら「行ってきます」と声をかけて足早に駅に向かう。


春だというのにどこか少し肌寒く感じた。


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