愛する婚約者を守るために頑張る公爵令嬢は、未来に絶望しない
「他に好きな人が出来たのです」

淡々と告げたはずの言葉が、耳に残る。

ルイズ様が私の目の前まで近づき、私の頬に手を触れた。


「リーシア、もう一回俺の目を見て言って?」


ああ、きっと、ルイズ様には嘘だとバレている。

それでも、私は絶対に貴方を殺したくなどない。

ここで頬を赤らめ、言葉に詰まるような馬鹿な真似は許されない。


「ルイズ様の他に好きな人が出来ましたわ。離縁して下さいませ」


私はもう一度ルイズ様と目を合わせ、はっきりと告げた。

ルイズ様の目に少しだけ寂しさが滲《にじ》んだのが分かった。


「本当に俺のことが嫌いになったとでも言うの?」


「ええ」


ルイズ様の表情が変わった。
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