アタシより強けりゃネ[完]

2-Aの邦親くん

「フフッ…わざわざ言わなくても、そのうち分かるでしょ。さっ、来たわよ」

次々と運ばれてくる大盛りのセットメニューでテーブルが見えなくなると

「いい景色だ…ユキちゃん、いただきます」

さゆみんが一番に手を合わせた。続けて皆が手を合わせてから食べ始めると、俺は気になっていた事を聞いてみる。

「あの写真ってさ、知ってたってこと?」
「ん」
「そうよ。盗撮とも言えない、ヘタな様子窺いだったから“どうぞ、綺麗に撮って”とコンビニの窓際に移動したのよ」
「きぃちゃんのお迎えの日が最初で、次にしもっちゃんとも撮られたの…分かっていながらね。そしたらユキちゃんが“メンズバージョンでお迎えに行くわ”って3枚目を撮らせたってワケ」
「大将も“行こうか?”って言ってたけど、出番なく終わったわね」
「大将はおじいちゃんだよな…なるほど」

写真のことは納得だ。

「この茶番はもう終わるかな?」
「さすがに終わるんじゃないか?直季はまだ気になるのか?」
「あれだけの人前でのことだから、終わったはず。先生も把握してるし」

カチャカチャとナイフとフォークの音が聞こえる中で皆が頷くけど、さゆみんだけは美味しそうにハンバーグを頬張り目を細めた。

「細谷ルミ派がうるさい可能性もほとんどないだろうけど、ただ単にさゆみんを羨んで妬むヤツっていうのは可能性あると思うから気をつけようと思う」
「邦親くんはなかなか大人ね、カッコいいわ」
「でしょ?」

さゆみん…その“でしょ?”は破壊力すげぇ…見えてるのが後頭部で助かったよ。
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