アタシより強けりゃネ[完]
「ただいま」
「おかえり、紗友ちゃん。待ってたわよ」
「ごめんなさい。きぃちゃんをちょっと待たせちゃった。ユキちゃん、もう完璧だね」

そう言いながら2階を目指すんだけど、1階の椅子にバッグは置いたし、歩きながら制服の上着を脱ぎ、リボンを外しブラウスのボタンを外して、それも脱ぐ。自動的に全部受け取ってくれるユキちゃんに

「ドレス、どれ?このキャミはダメだよね?」

とキャミの裾を引っ張って振り向くと

「ランジェリーまで一緒に置いてあるから。2分で鏡の前に座ってね」

女の子より完璧な女の子にドレスアップしたユキちゃん、長瀬幸矢(ながせゆきや)がウインクする。

「オーケー。あ、待って。これも」

私はスカートも脱いでポイッとユキちゃんに託すと、一分丈レギンスのゴムに指を掛けながらドレッサーのある部屋に入る。

「オーケー、これね。普通のワンピースドレス…今日は普通が一番」

今日はユキちゃんと私が新婦の友人代行の仕事に出る。何でも屋の仕事だ。ユキちゃんに任せておけば私を25歳くらいに仕上げてくれる。

「あ、顔あらお…」

レースドレスのインナーのピーチカラーのキャミドレスで洗面所に行くと、朝に日焼け止めを塗った顔を洗う。するとユキちゃんが戻ってきて、ドレスを着るのを手伝ってくれた。

「柔らかカラーのドレスが紗友ちゃんに似合うけど、年齢アップのクールな印象に仕上げるためにチークをスキップしてチークレスメイクにするわ。目元だけは盛り盛りで」
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