アタシより強けりゃネ[完]
「きぃちゃん、デザートある?」
「デザートの前にシメ」
「何?」
「塩鍋にはラーメン」
「あ、じゃあ、じいちゃん、そのモヤシ、ストップ。ラーメンの時に入れてよ」
「はいよ」

今日はきぃちゃんが買い物してくれた。

「明日はじいちゃん、買い物行く?」
「紗友美も一緒に行くか?」

たまにじいちゃんの順番の日もあるので聞いてみると当たっていたようだ。

「停学中は外出禁止が基本といってもサユはぱっと見、誰か分からない風に出かけられるな」

ユキちゃんマジックで両親にも分からないだろう。

「うん。じいちゃん、ブーツ欲しい」
「クリスマスまで待てよ」
「きぃちゃん、クリスマスまで2ヶ月もあるんだよ?しかも、アタシはじいちゃんにお願いしてるの」
「お願いはしてないだろ。欲しいって言っただけ」
「じいちゃんがいいって言ったらいいの」
「いい」
「…………大将…頼むからサユに我慢を教えてくれ」

きぃちゃんがじいちゃんに真面目に言ったけど

「紗友美だからいいんだ」

じいちゃんは笑ってきぃちゃんにビールを注いだ。

そう言うきぃちゃんも私に甘い。ユキちゃんもしもっちゃんも甘い。私がもう一生分の我慢をした…じいちゃんがそう言ったからだ。
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