アタシより強けりゃネ[完]
細谷ルミが寄付金の多い家の生徒だからややこしいの?それなら、彼女に楯突いたと言える行動をした三井くんも、他のたくさんのクラスメイトもややこしくない?

「じいちゃん」
「なんだ?」
「学園から連絡があったら登校するよ」
「ほお…ブーツはいいのか?」
「今度でいい」
「停学が短縮されてもいいのか?」
「ん」
「急にどうしてだ?」

じいちゃんは足首を膝に乗せるような足の組み方をして私を見た。

「もしも、細谷ルミがアタシの無実を証言した人に報復するようなことがあったらアタシがヤラないといけないから」

私の言葉にじいちゃんはソファーを揺らして笑い、きぃちゃんは大きな舌打ちを響かせた。

「イマイチ分かってないよな…サユ。大将、どうする?コイツが一番ややこしいかもしれない」

最後はきぃちゃんも笑っているからわけが分からない。

「紗友美」
「ん?」
「紗友美の好きなようにすればいいが、今回はひとつだけ考えてみなさい」
「なに?じいちゃん」

まだ楽しそうなじいちゃんの方へ私が膝を向けると

「紗友美の言う“アタシがヤラないと”というのは一番単純で簡単な方法だ。手っ取り早い」

じいちゃんも私に膝を向けた。

「その前に今回は誰かに相談してみなさい。ここにいる誰かじゃなく、同級生の誰かにね。皆が動いてくれた事を考えると、紗友美が一人でアタックするのは違うと思えるだろう?そこだけ、今回は考えて動きなさい」
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