靴擦れだらけのシンデレラ

産まれた時から詰み



「緊張してる?」
「緊張しない人間がいるなら是非とも私にご教示してもらいたいね。」
「ハハッ。この挙式が終わったらあの家族の筋肉がひきつる顔を観るのが楽しみだ。」


「お時間です。」


「さぁ行こう。」


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現代シンデレラストーリー。
ガラスの靴を手に入れた私のお話。

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その代わりコメディだよ!







昔々、ある所に商売が成功して少し成り上がった男と、それを支えて経理と家計を管理する女がおりました。

二人はあくせく働いて働いて気付いたら従業員が5人から20人、あれよあれよと500人近くの従業員がここの会社で働き、全国の何ヵ所かに事業所を構えるようにもなったという。やったね!

男はちょっとブイブイ言わせてはお高い車を乗り回し、飲み屋のお姉さんの谷間にお札を挟んで散財しては女に叱られるという生活を繰り返していた。そんなちょっと調子にのってる男がある日を境にピタリ…と云うわけではないが、ちょっと落ち着いた理由が。

「ようやく出来た。」
「おぉ!やったな!!」

女に子を宿したからだ。
しかし今まで男と会社の為に命を削り、それにプラスして子供が出来た女の身体は限界をとうに越えていた。

「…残念ですが。」
「…え?ドッキリ?」

医者に対してちょっと痛い発言をかました男は、もう心の臓が止まって一生目を開けない女の姿を見て崩れ落ちた。しかしその隣には元気に泣いてアピールする赤子の存在。

「…え?なんでお前が生きてんの?」

いやいやいや!失礼か!こんなに必死に命の塊アピールして全身全霊で赤子です!是非お見知りおきを!と言わんばかりに泣いてるのに、何その愛情どころか愛情の欠片すらも無い発言。

親子ながらビックリするわ、ビックリして涙も止まるわ。

「うわ、俺に似てる。」

そう言いながら優しく抱き締めたから、サンキューパッパ!と、言わんばかりに「オンギョエェェ」と、泣いてお礼しようとしたら、

「んで?子供手放す手続きどやってすんの?」

って、医者にまた痛い発言かまして私、今度は本気の大泣きした。ビックリなんてもんじゃないよね。肺呼吸して30分くらいしか経ってないのにいきなり人生のターニングポイント迎えようとしてるんだもん。それどころか開始早々クライマックス。

産まれたぁ!から要らねぇ!だもん。
そりゃあ私も泣きますわ。どうすんのぉって。とりあえず乳よこせぇって、こんな状況でもお腹は減るのは今でも変わってないよっと。


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