靴擦れだらけのシンデレラ

大きくなっても詰み


「ちょっと!私より先にトイレ入らないで!キモいんだけど!」

自宅のトイレが三つもあるのに東側の一番奥にあるトイレが被り、一番上の姉、いわゆる長女が廊下でぶちギレている。いやね?ここの東側のトイレ、日当たりも悪くて納戸と私の部屋しかないのに何で長女がこっちまで来るわけ?

「トイレならアッチ使いなよ。」
「は?喋んなって。気持ち悪い。息するなよゴミが。」

言葉の暴力しか言えない長女は見た目が継母と瓜二つ。細身でスタイルも良く、口さえ開かなければそこらのモデルより綺麗だろう。

「早く死ねよ、ゴミ。」
「………。」

平気でタブーな言葉を連発出来る長女は、自信家でプライドが高く、触るもの皆傷つけるタイプ。私のハートがギザギザになったのは長女のせい。

丁度喉も渇いたのでその場から去ろうとキッチンに向かって廊下を歩いていたら、ドン!!と、足元でひずいた音が響く。
驚いて足元を見たら分厚くて重たい広辞苑が転がっており、クスクスと笑い声が聞こえ、その笑い声に目を向けると吹き抜けの階段から二番目の姉、次女が不気味な笑顔でこっちを見ていた。

趣味は大食い、特技は太ることの次女。見た目のせいで虐められた過去があるらしく、横の成長期が止まらない次女の大食い以外のストレス解消の矛先は私。
広辞苑は食べ物じゃありません!って教えた所で次女はきっと叙々苑以外頭に無いだろう。

ちなみに過去に植木鉢を今のように二階から落とし、私の頭にヒットして15針縫った事があった。
髪の毛でその部分を隠しても捲れば生えてこない頭皮。
大爆笑していた次女。
何で死んでないの?と本気で呆れていた長女。そして…。

「…っ!!?」

いきなり服を捲り上げられて、背中に熱くて痛くて息が出来ない程の衝撃が突然降りかかる。

「丁度良かったゴキブリちゃん。灰皿が無かったの。」

継母がキッチンの冷蔵庫に立っていた私の背後に立ち、吸っていたタバコをわざわざ私の服を捲り上げて背中にグリグリ押し付ける。
この行為は物心つく頃には日常茶飯事で、タバコの時もあればヘアアイロンを押し付ける事もある。
顔や腕には絶対しない。必ず背中なのは、外野から見えない所に傷をつける為だろう。
病院には行かせて貰えない。痛くて痛くて、何度も泣いて眠れない夜を過ごした。私の背中に何百とある無数の火傷の跡は皮膚が変色し、グジュグジュの汁がいつも出ていて下着は汚れるし擦れて痛い。

ヒアルロン酸を注入した張りのある肌で、私の気力と体力を破滅に追い込む継母はパワータイプのラスボスもいいとこだ。

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