幼なじみって、言わないで!



ゆうにそんなつもりは、ないんだろうけど。


あぁ、俺は誰よりも近くて、家族みたいに近くて、ゆうに、俺と同じように好きになってもらえることはないんだろうなって。


思ってしまう。


俺は結局、ゆうの結婚式で、スピーチするんだろうな。
おめでとうって、言わなきゃいけないんだろうな。


誰かも分からないその相手に、目の前が真っ暗になるくらい嫉妬して。


でも、ゆうのこと、毎日毎日好きになる。


「ねぇ、キスしてみない?」


ゆうがそんなことを言った時、馬鹿かと思った。
ゆうに対してじゃない。


きっとゆうがほんの興味本位で言っただけであろうその言葉に、死ぬほど舞い上がってしまった、自分に対して。


そこからはあまり記憶がなくて、心臓がうるさくて、夢みたいな時間で。


あぁ、好きな人とのキスって、美味しいんだ。


って、思った気がする。



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