Prime Crown ~イロドリ男子と甘い誘惑~
story.01~出立~
*
「お母さん、待って。どこに行くの?」
私を置いていかないで。
何度そう叫んでも、母はどこか悲しそうな顔で微笑むだけ。
「やだ、お母さん!お母さん……っ」
そう精一杯手を伸ばすけど――
私の大好きだった母は、そのまま振り返ることなく、真っ暗な闇の中へ消えてしまった。
「待って、待ってよぉ……」
ひとりすすり泣く私に、
「大丈夫?どうして、泣いているの?」
誰かがそう、声をかける。
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