Prime Crown ~イロドリ男子と甘い誘惑~
stroy.03~~





「――そうして今年もまた、誇り高きわが校の大事な生徒たちとともに暖かな春を感じることができました。希望に満ちた新入生を迎え――」


――
―――ぐぅ。


「おーい、上篠さーん?大丈夫?」

「――!ご、ごめんごめん」


私立の名門校とだけあって、主に式典で使用される専用のアリーナが体育館とは別に併設されているこの学校。

今日は新学期初日ということで、私が職員室に着いた途端、先生の指示の元、偶然同じタイミングで職員室を訪れていたクラスメイトに連れられて急ぎこの会場に足を踏み入れた。


今、このアリーナでは、今年度最初の始業式が執り行われている。

そして、インテリ系の知的な美貌と気品を感じさせる普通科理事長の話に耳を傾けていたのだけど。


(やってしまった)

またしても睡魔の誘惑に屈しかけてしまい、寸でのところで声をかけてくれたクラスメイトに謝罪する。


「眠いよねー。紫乃(しの)さんって基本的に美人で優しい方なんだけど、とにかく生真面目な性格だからこういう時の話がいつも長くてさ。でも寝ない方がいいよ。紫乃さんに関しては、絶対バレて怒られるから」

そう話すクラスメイトの彼女――深山知愛(みやま ちえ)ちゃんは渋い顔をして苦笑いする。

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