四葉に込めた一途な執愛
私が落ち着くのを待ってから、それでもちゃんと診てもらった方がいいと言われたので未散を呼んでもらった。
両親に呼ばれた未散は、走ってきたのか少し汗をかいていた。
「ちなみ!!……あ、いや四葉さん」
ちなみと呼ばれてきゅうっと胸が締め付けられる。
「ごめん、えっとその、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「体に異常はないみたいだけど、もしかして何か思い出した?」
「……いえ」
ごめんなさい、と心の中で謝った。
「そうか……もしかして何かの精神的ショックを受けたんじゃないかと思ったんだけど」
「何でもないです。疲れたのかも。思い出そうとしても何も思い出せなくて、しんどくなって……」
「四葉さん」
未散、いや陽生先生はベッドの上に座る私の前で立膝を着き、両手を取って視線を合わせてくれた。
「前にも言ったけど、無理に思い出さなくてもいいんだよ。思い出すことが辛いなら、思い出せないままでもいいんだ」
「……っ」
彼の優しさが苦しい。本当は嘘なのに。
全部思い出したのに、私のことを気遣って安心させようとしてくれる。
どこまで優しいの?どこまで好きにさせるの?
私はこれ以上あなたを好きになりたくないのに。
「本当は今こんなことを言うべきじゃないと思うけど――僕は四葉さんのことが好きだ」