四葉に込めた一途な執愛


 息を切らしながら着いた場所は病院の屋上だった。
 あんなに走ったのは久々だから、息が乱れて汗が止まらない。

 フラフラしながら、屋上にあるベンチの上に倒れ込むように腰掛ける。

 乱れた息を整えている間、ずっと未散の言葉が頭から離れない。
 まさか告白されるとは思っていなかった。

 未散がまだ私を好きでいてくれていたなんて。


「っ、う……っ」


 枯れたはずの涙が再び滲み出る。
 本音を言えば嬉しくて嬉しくてたまらない。

 彼の手を取って思い切り胸の中に飛び込みたかった。
 私も好き、もう一度あなたに恋をしたって伝えたかった。

 でも、私ではダメなんだ――……。


「うっうっ、ごめんなさい……っ」


 泣きじゃりながら、左手首にクローバーのブレスレットをしていたことに気付いた。
 どうやらずっと付けっぱなしになっていたらしい。

 四葉のもう一つの花言葉、今ならわかる。


「っ、未散……」


 どうしてあなたはそんなにも私を想ってくれるの?
 突き放しても記憶を失っても、それでもずっと想っていてくれる。

「僕のものになって」と切なる思いを込めながら。

 あなたの一途すぎる愛情に、私は……


「――ちなみっ!!」


< 30 / 37 >

この作品をシェア

pagetop