淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
思い返せば
〝もう2度と会うことはない〟

と、自分が勝手に決めていただけだ。
本当は、気になって気になって仕方がなかったクセに。

自分の中にこんな気持ちがあったなんて、それにも驚きだ。


「私も……ずっと岡林先生を探していた、のかも……です」


恥ずかしくて、顔から火が出そう。

でも、これでやっと心の(わだかま)りが溶けたような。


「知花、本当に?」
「……はい。ずっと、自分の気持ちに嘘をついていたのかも」

「そうか……嬉しい。すごく嬉しい」


そう言った岡林先生は、白い歯を見せながら嬉しそうに笑った。

つられて、私も笑顔になる。


「よろしくな、知花」
「はい。こちらこそです」


それから私たちは軽食を追加でオーダーして、しばらく食事を楽しんだ。

途中で泊さんが様子を伺いにやって来てくれたので状況を話すと、自分のことのように喜んでくれた。

この1ヶ月の間の岡林先生の様子も延々と聞かされ、彼は「恥ずかしいから止めろ」と言っていたけれど、彼がどれくらい私のことを探していてくれたのかが痛いほど伝わった。


ひょんなことから出会った私たち。

これから、いい関係を築いていきたい。もちろん、私と岡林先生を結んでくれた泊さんとも。


そんなことを考えながら、カクテルをゆっくり堪能した。
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