その執着は、花をも酔わす 〜別れた御曹司に迫られて〜
「……恥ずかしい」
困ったように眉を寄せる。
「かわいいよ」

唇を塞ぐように口づけられて、彼の大きな手に、身体のラインをなぞられる。
「ん……っ」
「花音、かわいい」

ときどき見つめ合いながら、何度も何度も舌を絡める。
漏れるのがどちらの吐息なのかわからなくなる。

「……あっ」
彼の長い指が身体の奥を刺激して、それに呼応するように身体が疼く。
「……っ」
朦朧とした意識で、彼の身体に必死にしがみついた。
「あぁっ……あ……んんっ」
意識がさらに遠のく。
身体が熱を持ったようにボーッとしている。
全身が痺れているみたいに。

彼が、私の額に触れるような優しいキスをくれた。
「花音、昔みたいに、名前を呼んでくれないか?」
耳元で囁かれる。

「……成貴さん」
口づけられて、また涙が出る。

絡められた指すら遠くに感じてはがゆい。

「成貴さん……好き、もっと、もっと近くで感じたい」
少しも離れていたくない。

「花音」

甘い熱が、身体の奥で混ざり合う。


ベッドの中で抱き寄せられて、髪を撫でられる。
気恥ずかしいけど嬉しくて、身体をギュッとくっつける。
「俺と結婚するということは、碇の人間に会わなくてはいけない」
「はい」
あの人の顔が浮かんで、胸が軋む。
「だが、もしも花音が辛いなら……」

「大丈夫です。あなたが隣にいてくれたら」
あの頃とは違う。

「私だって七年間、ずっと子どもみたいに泣いていたわけじゃないから」
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