都合のいいオトコ
都合のいいオトコ

ニセモノ


何年経っても思い出してしまうのは、キミを選ばんかったことをちょっとだけ後悔してるから。

選んでも幸せにはなられへんかったのかもしれんし、選んでもうたら今この場所には辿り着けてない。そう考えると、あれでよかったんやなと思い直せる。

それでも、ふとしたときに振り返ってしまう。

冷たかったキミから垣間見えたあの切ない表情が、今でも忘れられへん。熱を帯びた瞳で見つめられると、とても心地よかった。

もう少し一緒におりたかった。
もっともっと知りたかった。



──ねぇ、ミツル。

今は幸せなんかな。
ホンモノにはちゃんと出逢えた?

ふたりで過ごしたあの日々を思い出してるのは、きっと、私だけ。そっちは振り返ってもないはず。

だって、私はミツルにとってニセモノやったから。
< 2 / 142 >

この作品をシェア

pagetop