kissしてサイキック‼~無能力者のハズの私が生徒会に溺愛される⁉~

2:呼び出し

「では、私が今日から皆さんの担任の皆川京子(みながわ きょうこ)です。よろしくお願いします」

 高校生活初めてのホームルームが始まった。チラリと教室の隅を見れば、案の定、朔の姿もある。彼の言った通り、私達はまたまた同じクラスだったというわけだ。
 肌の上から感じるセーラー服の厚さにそわそわしてみたり、クラスメイトの顔をこっそりと見渡してみたり、新しい机の香りにドキドキが止まらなかったり。新生活への期待が充満しているそんな教室に、突然長身の男性が訪問してきた。勿論、ノックと共に。
 京子先生は訪問してきた男性に戸惑っているようだ。

「が、学園長? いかがなされましたか? 何か、用事でも……」

 学園長。その言葉に私はピクリと反応した。そうして、訪問者に目を向ける。
男性にしては珍しい黒い長髪にまず目が向いた。駅前のカフェでのんびりとコーヒーでも啜っているような、穏やかな雰囲気を持つ男性はこの学校の学園長らしい。
 どこかで見覚えがあると思えば……確かこの学園の面接試験にて、試験官達のド真ん中に座っていたのが彼であった。とても優しい低音で、面接の緊張をやわらげてくれた彼の顔を私は覚えていた。

「皆川先生、突然すみません。このクラスの生徒を呼び出したくてね」

 その時、私は学園長と目が合った。それはもうバッチリと。学園長は私を見るなり、面接時のように優しく微笑んだ。

「あぁ、そこにいたのですね。桜さん」
「!? は、はい。」

 まさか名前を呼ばれるとは思わず声が裏返る。とても恥ずかしい。入学早々、何か粗相でもしてしまったのだろうか。

「ははは。そう怖がらないで。君が悪いことしたわけではないよ。ちょっと話があってね。放課後、生徒会室に来るように」

 その途端、教室中がざわつく。
 生徒会室。何故そんな所に呼び出される理由が見つからず、私は戸惑う。

「生徒会室って……まさか?」
「いやぁ、まさか、ね。あの子無能力者だろ?」

 朔が心配そうに私を見ている。私は「心当たりがない」とジェスチャーを飛ばし、とりあえずホームルームが終わるのを待つしかなかった……。
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