青春も甘い一言

ホームルーム

「みなさん!ホームルームが始まるので、席についてください!」


教室の中は一気に静まり返った


さっきまでの声はどこにいったんだ。全く、


先生の前だからってそんなに偉くする必要はあるのか?


「今日で、みなさんは高校一年生になりますね!高校生になっても、気を抜かず勉強に集中して取り組みましょう!」


『は~い!』


教室内には甘ったるい声が響く


こんな調子で勉強に集中できるわけがない


全員頭がお花畑みたい


そのあと、先生は私たちを体育館に呼び出し、入学式を終わらせた後、すぐ下校時刻にさせた


自分にとっては早く学校から帰られることはラッキーだった


でも、もう一度気分をあげさせるために、音楽室に行った


「ここならいい空気が吸える。邪魔な人もいない。」


私は一人で音楽室で独り言をささやいた


「それは僕も同感だよ」


とっさに、後ろから男子生徒の声が聞こえた


これはまずいことになったかもしれない。


私の独り言を聞かれてしまったら、学校中にめんどくさい噂が流れてしまう


でも、この男子生徒は、私の独り言に同感していたの?


なら話は変わってくる


ていうか、もう下校時刻なのに、何で私と同じ音楽室にいるんだ?


「あれ?驚かせちゃったみたいだね…僕の名前は悠田っていうんだ。同じクラスだったよね?仲良くしようね」


その男子生徒は微笑んだ


だが、その笑顔が逆に怪しく見えてしまった


でも、さっきの独り言をもみ消すためには、いい子のふりをしなければならない


「うん、よろしくね。」


私は二度と関わりたくないような相手に、返事をしてしまった


男子生徒は微笑みながら、音楽室から出て行った


何だったんだ?私に話をしたかっただけ?


どうせ、意味のない理由で来たんだろうけど。


私は中学の時、よく女子生徒にムカつくからっていじめられていた時もあった


まぁ、どうせあんな女子生徒、もうかかわらないからいいんだけど、


もしさっき会ったあいつもそんな感じだったら、嬉しくはないな


さて、早く帰らないとお母さんに心配される


せっかく気分をあげようとしたけど、それは無意味だったみたいだ。


また、今度来ようかな。


次は絶対悠田とかいうやつには会いたくない……


私は走って家に戻った。




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